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オリンピック特集

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2018/06/21

Perfecta編集部

2017世界自転車選手権トラック香港大会 私的観戦記

2017世界自転車選手権トラック香港大会 私的観戦記

27年ぶりのアジア開催

今年の自転車トラック競技世界選手権が4月12日から5日間、香港を舞台に開催された。自転車競技の世界選手権は年に1回世界各地で行われているが、アジアに巡って来たのはアジア初開催となった1990年の前橋大会以来、実に27年ぶりのことだ。
会場は香港の中心部からやや離れた高層マンション群の中に巨大なドーム屋根を横たえる香港ベロドローム。2013年に完成したこの屋内トラック競技場は収容観客数3,000人。まだキズやタイヤ痕が少なく、新しさを感じる木製走路に、広く使いやすいバックヤード設備。ホームスタンド上部には放送ブースやVIPルームとして使われる部屋がせり出し、エントランス脇にはレストランやバイクショップを備えるという充実の施設だ。日本では2020年東京オリンピックの競技会場に決定している静岡の伊豆ベロドロームが現状では唯一、世界選手権レベルの大会を開ける競技場だが、その規模の大きさと充実度は遥かに香港が上という印象だ。

リオオリンピックが終わり、次の東京へ向けて最初の開催となった今回の世界選手権。通常であればオリンピック明けのシーズンは次の主役の座を目指す若い世代の台頭に目が引かれるものだが、今回は違った。特に男子の短距離種目でスプリントを制したロシアのドミトリエフ(31歳)、ケイリン優勝のマレーシアのアワン(29歳)、1kmT.T.で王座に返り咲いたフランスのペルビス(32歳)と、これまで力は認められていながらもなかなか陽の目を見なかった中堅どころの実力者。あるいはもうピークは過ぎたと思われていた元王者がしっかりと結果を残したのが印象的だった。中でもケイリンのアワンの優勝には同じアジア人として胸のすく思いと、アワン本人のこれまでの努力に対する労いの気持ちで取材者でありながら胸がいっぱいになった。ケイリンはリオオリンピック後にルール変更がなされ、ペーサー離脱のタイミングが残り2周半から3周へと変わった。これは当初、ロングスプリントを得意とする選手により有利な変更とされ、実際に昨シーズンのW杯では早めの仕掛けからの先行・逃げ切りで勝負が決する場面が多く見られた。この変更には、残り1周半から2周を全員が一列棒状になってゴールを目指すというスピード感では確かに見応えは増したように見えるが、ケイリンの醍醐味である展開の綾(あや)やゴール前の逆転劇など、最後まで誰が勝つか分からないというストーリー性という面では魅力を欠く印象を持った。ケイリンは「速いものが勝つ」だけでは面白くない。当然今回の世界選手権も大方の予想はスピード持久力に優れたヨーロッパの選手が優勝候補の上位に挙げられた。しかし、身長166cm・67kgという日本人選手と比較しても小さな体格のマレーシアのアワンがその予想を見事に覆した。

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